7月14日、「事業者の営業制限:事例研究 新型コロナウイルス感染症」を公開しました。これは、新型インフルエンザ等対策特別措置法による事業者の営業制限について、特措法制定時の議論から実際の運用までを追跡し、その問題点を検討したものです。過去のブログ記事「自粛要請に関連する補償のあり方」、「不適切な営業自粛要請の代償」、「自粛と補償のあり方(まん延防止等重点措置をめぐって)」の内容も取り入れて、公共政策大学院の秋からの授業の教材として使用することを念頭に作成しましたが、将来は別の形態への発展も考えています。
憲法上の深刻な問題ともなり得る私権の制限を必要最小限とするには、国会の審議を経て制限の範囲を事前に明確にして、その範囲で運用すべきですが、新型コロナウイルス感染症では事前の想定から大きく外れた状況が現われ、事前の計画通り運用することができなくなりました。そのような事態にどう対処すべきかは、政策の実務者と研究者にとって重要な課題です。私権の制限を最小限とすることを根幹とし、計画を修正して運用すべきですが、現実には縦横無尽に私権が制限されるようになったことを拙稿で説明しています。
憲法の緊急事態条項が議論されていますが、特措法を教訓とするなら、条文で明確に制限された部分以外は最大限に私権が制限されると予想すべきでしょう。
(関係する過去記事)
「自粛要請に関連する補償のあり方」
「不適切な営業自粛要請の代償」
「自粛と補償のあり方(まん延防止等重点措置をめぐって)」