「骨太2006」では,2007年度から2011年度の予算編成で取り組むべき,歳出削減のパッケージが示されている。公共投資を大幅に削減する一方で,社会保障費の削減幅は小幅に抑えている。社会保障の削減は困難であるという判断が働いたものである。
 それでも,国の予算で1兆1000億円の削減を予定しており,これを5年間に均等配分すると,1年で2200億円となる。2008年度予算では,この削減額の確保のために,政管健保の国庫補助を削減する案が出ているが,各方面の反発を招いていて,前途は多難である。この改革には法改正が必要なので,野党が反対して法律が成立しないと,予算は単なる机上の計算に終ってしまう。
 2011年にかけての政府の選択肢は,以下の4通りである。第1は,既定方針通り進むが,あとの3つは,きわめて重大な変更をすることになる。
(1) 当初の予定通り,何とかして社会保障の削減を進める
(2) 社会保障の削減を圧縮して,他の支出を削減することで,歳出削減総額は当初予定通りとする。
(3) 社会保障の削減を圧縮して,その分の増税を積み増しして財政収支の改善を図る。
(4) 財政収支の改善を放棄する。
 一体改革は,基礎的財政収支黒字化に向けて,歳出削減で足りない部分は増税で対応するという考え方で組み立てられた。したがって,最初の3つは一体改革の範囲内と考えられるが,最後の選択肢は一体改革を放棄することになる。どの道を進むのか,財政健全化全体の戦略にも影響するので,骨太の議論が必要であると思われるが,そうした動きは見えてこない。