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 1月17日に開催された経済財政諮問会議の議事要旨によれば,「なぜ購買力平価を使わない?」で取り上げた甘利経済産業相提出資料について,町村官房長官が以下のように発言している(下記のURLにある文書の16ページ)。

http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2008/0117/shimon-s.pdf

「(町村議員)甘利議員の言われた1人当たりGDPについては、為替レートの関係が随分あるのではないか。これを見ると絶望的な気分になってしまう。事実絶望的になる部分があるが、対ドルではユーロはみんな上がっているから、ある意味でEU諸国は当然上がる。その部分を考慮した数字で出さないと、錯覚を与える数字になる。大田議員に今度数字を出していただきたい。」

 的確な指摘だと思う。為替レートではなく,購買力平価で換算して比較すべきである(くわしくは,「1人当たりGDP 日本は18位に後退」を参照)。そこで,資料を作成してみた。
 上図は,日本の1人当たりGDPを為替レートで換算したものと購買力平価で換算したものを1984年から示したもの(各年ごとにOECD全体の計数を100として指数化)。
 購買力平価で換算した1人当たりGDPは,(OECD平均との比較で)1980年代は上昇傾向,1992年以降は下降傾向,そのなかでも96年から99年にかけての下降が目立つ。バブル崩壊以降の日本経済の低迷が反映されていると解釈できる。為替レート換算のGDPの変動よりも納得のいく動きをしているのではないだろうか。

(注)
 図のデータの出所は,OECD Annual National Accounts Database(「もはや経済は一流ではない?」(http://blogs.yahoo.co.jp/iwamotoseminar/1455958.html )で,出所をSourceOECDと書いたが,より適切な表現に改めます)。データは1970年から利用可能である。