29日に政府・与党がまとめた「安心実現のための緊急総合対策」は,益よりも害が大きい。私が時間を割くほどの価値もないので,ごく簡単に。
(1) 原油・食料価格高への対応は「資源・食料高対策は民間の仕事」でのべた通り,民間が努力するのが基本であり,政府がうまく対応することは難しい。実際に,対策では補助の対象を場当たり的に選択し,市場での価格調整を助けるどころか,逆に攪乱してしまう。
(2) 景気後退局面に入ったとはいえ,現在は財政出動の時機ではない。「1990年代の財政運営の教訓」(https://iwmtyss.com/Docs/2001/1990NendainoZaiseiUneinoKyokun.pdf)でのべた通り,金融政策が安定化政策の主役を担い,財政政策は景気後退が極めて深刻で,金融政策だけでは対応しがたい事態に限定して用いられるべきである(また齊藤誠一橋大学教授との共著「財政財政・金融,主従関係を断て」https://iwmtyss.com/Docs/2000/Zaisei_Kinyu_ShuzuKankeiwoTate.html も参照)。

(参考)
「安心実現のための緊急総合対策」(2008年8月29日)
http://www5.cao.go.jp/keizai1/2008/080829taisaku.pdf