遅れた話題になるが,9月2日に,2007年度の国民医療費が34兆1360億円になったと発表された。約1年前の記事「2006年度の国民医療費はやっぱり33.1兆円だった」で,これを34兆1484億円になると予測していたので,誤差率は0.036%だった。これに先立つ7月17日に2008年度の概算医療費等が発表されており,そもそも国民医療費総額を報道する価値がないことは,やはり1年前の記事「2006年度の国民医療費は33.1兆円(か)」で指摘した通りである。しかし,報道の姿勢に進歩がなく,結局,私が1年前にブログに書いた数字をニュースとして報道している。
 いいたいことは1年前の記事と変わらないので,再掲しておく。

「医療費総額にはニュースとしての価値はほとんどない。他の統計でほぼ予想がつくからだ。この統計の価値は,制度別,財源別,傷病別,年齢階層別など,専門的な分析のための詳細な情報が得られることである。そのために時間をかけているといっていい。
 国民医療費は伝統ある統計なので,今年の公表の際も報道されると思われるが,見出しをどうつけるかでセンスが問われる。「医療費総額が33.1兆円」という見出しなら,2007年度に国民医療費が増加することが明白なときに2006年度の医療費が横ばいだったことを強調する見当はずれのものだ。もし33.1兆円から大きく違っていたら,それはニュースとして見出しになる。「国民医療費」の統計としての価値を反映した記事を誰が書けるのかに注目。報道しないというのもひとつの見識だ。」

 この記事で説明されているのと同じ手法で来年に発表される2008年度の国民医療費を予測してみると,34兆7779億円となる。

(関係する過去記事)
2006年度の国民医療費は33.1兆円(か)

2006年度の国民医療費はやっぱり33.1兆円だった