赤井伸郎先生(大阪大学)・佐藤主光(もとひろ)先生(一橋大学)・土居丈朗先生(慶応大学)と一緒にまとめた「提言:「地域主権」の実現に向けた地方財政抜本改革」(http://www.geocities.co.jp/SilkRoad/3841/teigen20100312.pdf )を公表しました。

 提言では,地方財政の望ましい姿を,7つのポイントにまとめています。
ポイント1:国と地方の役割分担の明確化
ポイント2:基礎的サービスは財源保障し「交付金化」
ポイント3:交付金は一括かつ包括的
ポイント4:交付税は財政調整に特化
ポイント5:交付税は地方固有の財源
ポイント6:地方の法人課税依存度の引き下げ
ポイント7:地方消費税の分離・独立化

 提言の冒頭をご紹介します。ご関心をもっていただけましたら,本文をお読みください。

 地域の多様性と主体性を尊重するよう歳出自主権と歳入自主権を有した「地方政府の確立」をすることに異論はない。しかし、現行の地方分権改革は、地方の税収比率の引き上げ、交付税総額の確保など、地方の財源の「量的」充実に偏ってきた。国の過剰な関与、それと裏腹な地方の甘え・財政責任の欠如、国と地方の間で曖昧なままの責任の所在、その結果としての歯止めの利かない財政の膨張というわが国の地方財政問題の本質的な課題も見逃されている。「地域主権」の狙いは、単なる国と地方における「量的」の問題ではなく、自らの責任と権限で財政運営を行う地方の主体性と自立の「質的」向上にある。
 われわれ 4 名は、「三位一体改革」が議論されていた2004 年に,上記のような考え方に基づき,望ましい地方財政改革のあり方を提言した。しかし,残念ながら現実の改革はわれわれが本質と考える問題に正面から取り組むことはなく,迷走を続けているように見える。新政権が具体的な改革に取り組もうとする現在,われわれは,今なおその価値を失っていない2004 年提言の骨格はそのままに,現在の議論に即した形で,あらためて提言をまとめることにした。具体的には、分権型社会に適うよう財政移転が本来あるべき役割(社会的に重要な公共サービスのナショナル・ミニマムの確保や地域間格差の是正など)を充当するための制度の構築を掲げる。

(参考)
提言:「地域主権」の実現に向けた地方財政抜本改革」
http://www.geocities.co.jp/SilkRoad/3841/teigen20100312.pdf