いささか旧聞になりますが、日本経済学会新型コロナウイルス感染症ワーキンググループ(以下、WG)による「新型コロナウイルス感染症に関する研究」サイトの文献リストを5月13日に、更新しました。これで3回目の更新になり、前回より57本の文献が追加され、専門論文129本、一般記事55本掲載となりました。このサイトの位置づけについては、「日本経済学会『新型コロナウイルス感染症に関する研究』サイトを開設しました」での説明を繰り返すと、新型コロナウイルス感染症に関する経済学的研究について日本経済学会員の研究成果を紹介し、経済学の知見を新型コロナウイルス感染症対策に活かすための活動をすることを目的としています。

 経済への影響は今後も重要な課題であり、研究は今後も活発になると思われますので、WGのリスト作成作業はもう少し続くことになると思います。当初はWGで文献を収集していましたが、日本経済に絞り込んだ検索が機械化できないため、研究が活発になってくると、手作業では追いつかなくなってきます。そのため、前回の更新から学会員に情報提供をお願いして、文献の収集が進みました。
 今後は、主に会員からの情報提供をもとに更新することになると思います。これまではできるだけ情報提供をしていただけるように、書誌情報は自由形式で入力してもらっていたのですが、書式を整える手間も結構あるので、最初から書式を整えている入力フォームへの変更を予定しています。入力フォームが変更された際には、会員の皆様にはあらためて連絡しますが、それまでは会員向けにお知らせした入力フォームをご利用ください。

 一般記事のリストは、再構成を検討中です。
 一般向け記事の文献リストは、アウトリーチ活動としては重要ですが、学会員が執筆した関係記事をすべて対象にすることは難しいです。一つは、そのようにすると、おそらくWGの処理能力を超えるほど膨大になると考えられます。もう一つは、意見・提言が主体である文献を掲載すると、学会がその内容を公認するような誤解を招きかねません。このような理由から、専門的な研究を土台にした記事というものを目安にして記事を選択していましたが、候補となる記事が増えてくると、目安と照合する作業もWGの手に余るようになってきました。
 文献が増えてくると、単なるリストではなく、増えてきた文献を交通整理して研究の動向を解説する文献が有用になります。一般向けに書かれたものは、WGサイトの一般記事リストの役割をもっと効果的に果たすことができそうです。そうしたもので代替できるようになるといいかもしれません。
 また、広範囲の文献をまとめた書籍も、研究の全体像を把握するのに役立ちそうです。(WGではなく私個人の立場で)一例をあげると、

小林慶一郎・森川正之編『コロナ危機の経済学:提言と分析』(日経BP日本経済新聞出版本部、2020年)
コロナ危機の経済学 提言と分析
森川 正之
日本経済新聞出版
2020-07-18


宮川努編『コロナショックの経済学』(中央経済社、2021年)
コロナショックの経済学
宮川 努
中央経済社
2021-04-21



経済セミナー編集部編『新型コロナ危機に経済学で挑む』(日本評論社、2021年)手前味噌ですが、財政的対応を論じた拙稿も含まれています。

関係する過去記事
「日本経済学会『新型コロナウイルス感染症に関する研究』サイトを開設しました」
http://iwmtyss.blog.jp/archives/1078342824.html