3月12日の日本経済新聞朝刊の経済教室欄に拙稿「高債務先進国,35%が破綻」が掲載されました。

 かつては先進国の財政破綻が数多く発生していたことを世にしらしめたラインハート教授,ロゴフ教授の『国家は破綻する』の基礎データを使って,政府債務がGDPの60%を超えた後に再建するのか,破綻するのかを追跡する作業をしたのが,昨年にホームページで公開した拙稿「政府累積債務の帰結」(http://www.iwamoto.e.u-tokyo.ac.jp/Docs/2012/SeifuRuisekiSaimunoKiketsu.pdf )です。今回の寄稿の前半では,その結果を紹介しています。
 見出しになった破綻事例の比率35%は全期間の単純な平均ですが,大恐慌期とそれ以前では70%に上がります。紙面では単純な集計結果を示しましたが,拙稿「政府累積債務の帰結」では,プロビット分析の結果も報告しています。

 経済教室欄には1年間の間隔が空いての寄稿となりました。昨年2月まで「エコノミクストレンド」の連載で年3回寄稿していましたが,今回の記事を書いて,最近の研究動向を紹介していく「エコノミクストレンド」がかなり大変な作業であったことをあらためて実感しました。

 最後に,記事で紹介した文献は以下の通りです。(登場順)

カーメン・M・ラインハート,ケネス・S・ロゴフ(2011),『国家は破綻する』,日経BP社

岩本康志(2012),「政府累積債務の帰結」
http://www.iwamoto.e.u-tokyo.ac.jp/Docs/2012/SeifuRuisekiSaimunoKiketsu.pdf

Carmen M. Reinhart and M. Belen Sbrancia (2011), “The Liquidation of Government Debt,” mimeo.

(関係する過去記事)
政府累積債務の帰結:危機か? 再建か?