岩本康志のブログ

経済,財政の話題を折に触れて取り上げます。

2021年09月

Yahoo! ブログから引っ越しました。

医療経済学会・基調講演「新型コロナウイルス感染症と経済学」

 遅いご案内になりましたが、4日にオンラインで開催された医療経済学会第16回研究大会(開催校・東京医科歯科大学)のシンポジウムにて、基調講演「新型コロナウイルス感染症と経済学」を行いました。講演スライド(PDF file)を私のサイトに掲載しています。
 現在、行動制限の強化をめぐる議論が起こっていますが、「健康と自由のトレードオフ」が私の講演の大きなテーマになっています。経済学が感染症対策に貢献できる役割の一つに、人々の行動の理解を深めることがありますが、「人々はなぜ(利己的行動ではない)制限の要請に応じるのか」、「人々はなぜ制限の要請に応じなくなったのか(なぜ緊急事態宣言の効果が弱まるのか)」を理解しないと適切な対策は考えられません。
 健康と自由の問題は、昨年に参加した東京大学国際高等研究所東京カレッジ主催連続シンポジウム「コロナ危機を越えて」での他の回(③価値)で宇野重規教授が「安全・経済・自由のトリレンマ」という問題提起をされたことを聞いたときから、どのように経済学で考えるべきかを模索していました。
 経済学で自由を議論するのは、健康と経済のトレードオフを明らかにすることよりもはるかに困難な課題ですが、現状の必要性に鑑み、経済計算論争、コースの定理、社会的選好での分析ツールを基に経済学でできる限りの議論を試みました(不完備契約理論も役立ちますが、講演の時間の都合上、省略しました)。
 後日、スライドを文章化したものを発表したいと考えています。

関係する過去記事
「連続シンポジウム「コロナ危機を越えて」④経済」

Introduction to the special issue “SIR Model and Macroeconomics of COVID-19”

 日本経済学会の機関誌であるJapanese Economic Review誌のVol.72 Issue 4は、“SIR Model and Macroeconomics of COVID-19”という特集となります。前号と同じく、学会の新型コロナウイルス感染症ワーキンググループのメンバーである大竹文雄教授(大阪大学)、宮川大介准教授(一橋大学)、私がゲスト・エディターとして編集を担当しました。エディターによるIntroductionが4日、オンライン公開されました。
 この特集には、SIRモデルの解説論文2本、SIRモデルを用いた日本経済の研究論文3本が収録されます。この記事の投稿時点でオンライン出版されているものは、DOIも示しています[2021年9月22日追記:その後にオンライン出版された文献のDOIを追加しました]。前特集号に引き続き、すべての論文を無料で読むことができます。

Welfare economics of managing an epidemic: An exposition
Yasushi Iwamoto
https://doi.org/10.1007/s42973-021-00096-6

Structure of epidemic models: Toward further applications in economics
Toshikazu Kuniya

COVID-19 and output in Japan
Daisuke Fujii, Taisuke Nakata
https://doi.org/10.1007/s42973-021-00098-4

The macroeconomics of COVID-19 exit strategy: The case of Japan
So Kubota

Trade-off between job losses and the spread of COVID-19 in Japan
Kisho Hoshi, Hiroyuki Kasahara, Ryo Makioka, Michio Suzuki, Satoshi Tanaka

関係する過去記事
「Introduction to the special issue “The Impacts of COVID-19 on the Japanese Economy”」
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