岩本康志のブログ

経済,財政の話題を折に触れて取り上げます。

Yahoo! ブログから引っ越しました。

「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」(案)に対するパブリック・コメント(3)

「「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」(案)に対するパブリック・コメント」(1)(2)の続きとして、最後の2つの意見を紹介する。
 制定時の特措法では、事業者が営業自粛の要請に応じても損失を補償することは想定されていなかった。事業者への経済的支援となるのは第60条で規定される融資であり、融資は返済を求めるので、補償とは違う。岩本(2022)で解説したように、補償が必要なほどの要請を想定していなかったからである。
 新型コロナ対応では、営業を自粛した事業者の支援を含めて、国と地方は巨額の財政支出をした。財政負担を考慮せず対策を選択し、その補償として、場合によっては便乗して、財政支出が決まっていった。そして、いくら使ったのか、どのように使ったのかわからないくらいに不透明である。
 対策が制定時の想定を超えたことから、2021年改正で、事業者に対する財政上の措置が規定された(第63条の2)。そして行動計画案では、「国による必要な財政上の措置や地方債の発行による財源の確保を行う。」(7頁)との記述が加わった。しかし、特措法制定時に検討されたと思われる第60条に関する記述に比較すると、財政負担になる支援の記述は極めて薄く、ちぐはぐである。
 行動計画案には、「感染拡大防止と社会経済活動のバランスを踏まえた対策の切替えを円滑に行うことにより、国民生活及び社会経済活動への影響を軽減する」という目的が加えられたが、財政支出もバランスの視野に入らないかを問うのが意見⑥と意見⑦である。第63条の2に関する項と、法的根拠はないが広範囲なものが該当しそうな項を対象にした。

意見⑥
国、都道府県及び市町村は、新型インフルエンザ等及び新型インフルエンザ等のまん延の防止に関する措置による事業者の経営及び国民生活への影響を緩和し、国民生活及び国民経済の安定を図るため、当該影響を受けた事業者を支援するために必要な財政上の措置その他の必要な措置を、公平性にも留意し、効果的に講じる(特措法第63 条の2第1項)。(業所管省庁)
(208頁、第3部第13章第3節3-2-2。注を括弧内に記載:引用者)

特措法第60条に基づく融資については詳細な記述がある一方で、法63条の2第1項に基づく事業者の支援の記述が具体的でないことは均衡を欠いている。財源を要するものであり、支援の具体的内容、それに要する費用について記述すべきである。

意見⑦
国は、本章の各支援策のほか、新型インフルエンザ等及び新型インフルエンザ等のまん延の防止に関する措置により生じた国民生活及び社会経済活動へのその他の影響に対し、必要に応じた支援を行う。なお、支援策の検討に当たっては、生活基盤が脆弱な者等が特に大きな影響を受けることに留意する。
(210頁。第3部第13章第3節3-3-6)

「国民生活及び社会経済活動に及ぼす影響を緩和するその他の支援」には、法的根拠が与えられていない。新型コロナ対応のような巨額の財源を要する支援が念頭にあるならば、法的根拠がないまま行動計画に記載することは適切ではない。また、対策費の使途が辿れないことが問題とされているので、「対策に要した費用については、その使途を明らかにして説明責任を果たす」ことを記述すべきである。そして、支援の具体的内容、それに要する費用について記述すべきである。

 行動計画案の記述が具体的でないので、これら2つの意見は修文の提案でおさまらなかった。意見を出しているのが経済学者だからといって、費用がかかるから対策をすべきでない、と言っているのではない。様々な意見があり得るならば、対策の財政費用の情報が明示されて議論されるべき、という考えである。

 短時間の作業なので、文書の検討も意見の推敲も不十分にならざるを得なかった。自分のことは措いても、223頁の文書の意見募集期間が2週間というのは短すぎる。すべての国民に協力をお願いする政策を決める手続きとしては不適当である。

(参考文献)
岩本康志(2022)「事業者の営業制限:事例研究 新型コロナウイルス感染症」

(関係する過去記事)
「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」(案)に対するパブリック・コメント(1)」

「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」(案)に対するパブリック・コメント(2)」https://iwmtyss.blog.jp/archives/1083469122.html

「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」(案)に対するパブリック・コメント(2)


意見②
 国が偽・誤情報を監視し、SNS等のプラットフォーム事業者に要請をおこなうことの記述がある。

また、例えば、ワクチン接種や治療薬・治療法に関する科学的根拠が不確かな情報等、偽・誤情報の拡散状況等のモニタリングを行い、その状況等を踏まえつつ、その時点で得られた科学的知見等に基づく情報を繰り返し提供・共有する等、国民等が正しい情報を円滑に入手できるよう、適切に対処する。(統括庁、厚生労働省、関係省庁)
偏見・差別等や偽・誤情報への対策として、国はSNS等のプラットフォーム事業者が行う取組に対して必要な要請や協力等を行う。(統括庁、総務省、法務省、厚生労働省、関係省庁)
(90-91頁、第3部第4章第2節2-3。94頁、第3部第4章第3節3-1-3)

 政府が正しいとすることが誤っていたら、大変なことになる。つまり、内閣感染症危機管理統括庁という危機をどのように管理するか、という問題である。その対策として、情報公開を求める意見とした。それが入りそうな箇所だったのは、科学的知見を統括庁と厚生労働省に報告することが規定されている国立健康危機管理研究機構(JIHS)の役割に関する記述である。

さらに、国民の理解の促進や不安の軽減に資するよう、収集した情報や病原体のリスク評価、治療法等、新型インフルエンザ等の対策等について、分かりやすく情報提供・共有を行っていくことも期待される。
(53頁。第2部第3章第1節(2))

JIHSが「分かりやすく情報提供・共有を行っていくこと」と同時に、「知見を検証可能なものとするよう、詳細な情報提供・共有をおこなう」を追加するべきである。
行動計画では政府のもつ知識が正しいことが前提とされているように見受けられるが、新型コロナでは感染症専門家からの誤った助言や厚生労働省作成資料の誤りが見られ、この前提は成立しない。知見が得られた詳細が公開されることで科学的な検証が可能となり、誤謬があれば修正されることで、最終的には国民の理解と納得につながると考えられる。

 科学的知見の詳細な情報公開を拒む理由はないと思うが、それが必要な理由として、新型コロナ対応で政府も誤った経験を記載した。意見を短くするため出所は省略したが、「感染症専門家からの誤った助言」は岩本(2023、2024a、2024b)で取り上げ、「厚生労働省作成資料の誤り」は、「ワクチン効果に関する誤情報」(1)(2)で取り上げている。

意見③
 政府対策本部の廃止の手続きについての記述がある。

国は、新型インフルエンザ等にり患した場合の病状の程度が、季節性インフルエンザにり患した場合の病状の程度に比しておおむね同程度以下であることが明らかとなったとき、又は感染症法に基づき、国民の大部分が免疫を獲得したこと等により新型インフルエンザ等感染症若しくは指定感染症と認められなくなった旨の公表がされたとき、若しくは感染症法に基づき、新感染症に対し、感染症法に定める措置を適用するために定める政令が廃止されたときに、推進会議の意見を聴いて、政府対策本部を廃止し、その旨を国会に報告するとともに、公示する。
(71頁。第3部第1章第3節3-3-1)

「推進会議の意見を聴いて」が入るのはミスではないかと思うが、どうだろうか、というのが以下の意見である。

政府対策本部を廃止する際に推進会議の意見を聴く必要はないので、「推進会議の意見を聴いて、」は削除するのが適当である。
まず、感染症法に基づき廃止となる場合に意見を聴くとすれば厚生科学審議会であり、推進会議の意見を聴くことは意思決定過程を混乱させる。つぎに、特措法では基本的対処方針の廃止について推進会議の意見を聴くことは規定されておらず、基本的対処方針の廃止で政府対策本部を廃止する手続きをとるときは、推進会議の意見を聴かずに政府対策本部を廃止することは可能である(新型コロナでは、政府対策本部の廃止を予定する基本的対処方針の変更は推進会議基本的対処方針分科会に諮られたが、基本的対処方針を廃止する際には分科会は開催されていない)。幅広く対応できるシナリオを想定する趣旨からは、この手続きを排除する積極的理由はないと考えられる。

 政府対策本部の廃止に関する課題は、岩本(2022、2024b)で取り上げている。
 技術的な問題だけでなく、特措法の対策を終わらせる局面では専門家も国民も意見が分かれそうであるが、そこで専門家任せにして政治が判断しないという表明であれば、それも問題である。

意見④
 私権制限をともなう特措法措置は必要最小限であることが求められるが、短期間という記述がなくなることで、歯止めがきわめて弱くなっている。また、何をもって適切となるのかも不透明である。意見④と意見⑤は、これに関する意見である。

まん延防止対策として実施する対策の選択肢としては、以下のようなものがある。国及びJIHS による分析・リスク評価に基づき、病原体の性状、変異状況、感染状況及び国民の免疫状況等に応じた、適切なまん延防止対策を講じる(本項において、特に根拠法令の記載や注釈がないものについては、特措法第24 条第9項の規定に基づく要請として行うことを想定している。)。なお、まん延防止対策を講じるに際しては、国民生活・社会経済活動への影響も十分考慮する。
(109頁、第3部第6章第3節3-1。注を括弧内に記載:引用者)

まん延防止対策の選択において考慮する条件をできる限り定量的・客観的に示すことで、私権制限が濫用されないようにすべきである。病原体の性状、変異状況、感染状況及び国民の免疫状況等について具体的な記述がなく、何をもって対策の選択が適切であると判断できるのかが不明である。平時にできないことは有事にもできないので、冷静に判断ができる平時に対策の選択の考え方をできる限り明確にしておくべきである。

意見⑤
都道府県は、地域の実情に応じて、集団感染の発生施設や不特定多数の者が集まる等の感染リスクが高まる場所等への外出自粛や、都道府県間の移動自粛要請、重点区域(特措法第31条の4第1項第2号に規定するまん延防止等重点措置を実施すべき区域をいう。)において営業時間が変更されている業態に属する事業が行われている場所への外出自粛要請(特措法第31条の8第2項)、新型インフルエンザ等緊急事態において生活の維持に必要な場合を除きみだりに外出しないこと等の要請(特措法第45条第1項)を行う。(統括庁)
(109頁、第3部第6章第3節3-1-2-1。注を括弧内に記載:引用者)

「集団感染の発生施設や不特定多数の者が集まる等の感染リスクが高まる場所等への外出自粛や、都道府県間の移動自粛要請」には法の根拠が示されていないが、社会経済活動の制限であって対象者には重大な負担となるものであるから、まん延防止等重点措置または緊急事態措置に限定するように根拠を与えるべきである。

(参考文献)
岩本康志(2022)「政府対策本部の設置と廃止:事例研究 新型コロナウイルス感染症」

岩本康志(2023)「『接触8割削減』の科学的根拠」

岩本康志(2024a)「なぜ緊急事態措置は想定以上となったのか:数理モデル分析の影響について」

岩本康志(2024b)「政府対策本部の設置と廃止(続):事例研究 新型コロナウイルス感染症」

岩本康志(2024c)「なぜ緊急事態措置は想定以上となったのか:補遺(2024年4月27日)」

(関係する過去記事)
「ワクチン効果に関する誤情報」

「ワクチン効果に関する誤情報(その2:データ連携の課題)」

「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」(案)に対するパブリック・コメント(1)

「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」(案)に対するパブリック・コメント(1)

新型インフルエンザ等対策政府行動計画」(案)に対する意見募集(パブリック・コメント)」に意見を提出したが、こちらでも紹介する。7件になるので、文書の頁順に進める。

意見①
 この意見の背景をまず説明する。今回の案件は、新型インフルエンザ等対策特別措置法(以下、特措法)に基づく政府行動計画の改定である。特措法の目的は、「新型インフルエンザ等の発生時において国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済に及ぼす影響が最小となるようにする」とされている(第1条)。
 行動計画案では、この目的について

(1)感染拡大を可能な限り抑制し、国民の生命及び健康を保護する。
・感染拡大を抑えて、流行のピークを遅らせ、医療提供体制の整備やワクチン製造等のための時間を確保する。
・流行のピーク時の患者数等をなるべく少なくして医療提供体制への負荷を軽減するとともに、医療提供体制の強化を図ることで、患者数等が医療提供体制のキャパシティを超えないようにすることにより、治療が必要な患者が適切な医療を受けられるようにする。
・適切な医療の提供により、重症者数や死亡者数を減らす。
(2)国民生活及び国民経済に及ぼす影響が最小となるようにする。
感染拡大防止と社会経済活動のバランスを踏まえた対策の切替えを円滑に行うことにより、国民生活及び社会経済活動への影響を軽減する。
国民生活及び国民経済の安定を確保する。
・地域での感染対策等により、欠勤者等の数を減らす。
・事業継続計画の作成や実施等により、医療の提供の業務又は国民生活及び国民経済の安定に寄与する業務の維持に努める。
(23頁。強調は引用者)

と書かれている。法律を肉付けしたもので、第1の目的に条文にない「感染拡大を可能な限り抑制し」が追加され、さらに具体的な内容を列挙している。現行動計画も多少の言い回しの違いがあるが内容は同じであるが、違いは、第2の目的の箇所で2つの項目(強調した箇所)が追加されたことである。これらは対策の国民生活・国民経済への影響への配慮になる。
 逆に言うと、現行動計画では「国民生活及び国民経済に及ぼす影響」とは感染症が流行することの影響を指し、対策の悪影響は考えられていない。岩本(2024)で説明したように、外出自粛要請と施設の使用制限という45条措置の期間は1~2週間とされていたので、対策の影響を深刻にとらえる必要はないとも考えられるが、期間の記載は反故にされ、強い対策が長期化した。期間の歯止めがないと、医療提供体制への負荷を抑えるために特措法措置はいくらでも強化できるという構造になった。行動計画案での目的の追加は、このことへの反省を踏まえたものと言えるだろう。これは望ましい改善であるが、古い考え方が行動計画案で残っていないかどうかが気になる。医療提供体制への負荷、医療ひっ迫の回避については、行動計画案でも何回か言及されている。そのなかで懸念があるのは、下の箇所である(9頁、概要、第6章 まん延防止)。

医療提供体制を拡充しつつ、治療を要する患者数をその範囲内に収めるため、まん延防止対策により感染拡大のスピードやピークを抑制することが重要である。このため、医療ひっ迫時には、リスク評価に基づき総合的に判断し、必要に応じて、特措法に基づく新型インフルエンザ等まん延防止等重点措置(以下「まん延防止等重点措置」という。)及び新型インフルエンザ等緊急事態措置(以下「緊急事態措置」という。)等を含め、強度の高い措置を講じる。これらの措置を行う場合の勘案事項の整理を進めるとともに、状況の変化に応じて柔軟かつ機動的に対策を切り替えていくことで、国民生活及び社会経済活動への影響の軽減を図る。

ここに関して、以下のような意見を提出した。

「医療提供体制を拡充しつつ、治療を要する患者数をその範囲内に収めるため、まん延防止対策により感染拡大のスピードやピークを抑制することが重要である。このため、」は削除すべきである。
「このため、」があることで、患者数を医療提供能力に収めることが目的となり、強度の高い措置がその目的を達するための手段になっている。現行動計画では一般医療機関が診療する段階に移行することで非常に高い患者ピーク想定を乗り切るシナリオであり、45条措置も短期間とされていた。この想定では、医療ひっ迫回避の優先は一定の合理性があった。しかし、新型コロナではこのシナリオが機能せず、強い措置の長期化が大きな社会経済的負荷をもたらした。その経験から、今回の改定案では対策の第2の目的に「感染拡大防止と社会経済活動のバランスを踏まえた対策の切替えを円滑に行うことにより、国民生活及び社会経済活動への影響を軽減する。」が追加されたものと理解する。そうであれば第1の目的にある患者数を医療提供能力に収めることと、第2の目的にある対策による影響を軽減することは並列に置くべきであり、第1の目的のために第2の目的を犠牲にする構成とすべきではない。
(提出した意見には改行はないが、ここでは見やすいように意見と理由の間に改行を追加した)

 意見は、行動計画案の具体的な修正意見を書き、その後に理由をつける形式とした。意見がほどほどの数の場合は意見とその回答が公開されるので、それを期待して、公開に適する字数で意見を短くまとめるようにした(ところが大量に意見が提出されたようなので、回答を公開してくれるのかわからなくなった)。理由は短い方が引用されやすくなるが、第三者にも意見の理由をわかってもらうにはきちんと説明しないといけないので、やむを得ず長くなった。拒否回答として想定されるのは、案文の第3文に「国民生活及び社会経済活動への影響の軽減を図る」とあることで考慮している、というものだろう。論点は、第2文の「このため」が、第1の目的を優先しているか、どうかである。

 特措法に基づく行動計画を改定する案件なので、特措法に対する異論は封印して、行動計画の具体的な修文提案としている。行動計画とあまりに離れると、ご意見は拝聴しました、で行動計画は手つかずで終わってしまうので、できるだけ具体的に、説得的に、を心がけている。
 残りの意見は、(2)以降で紹介する。

(参考文献)
岩本康志(2024a)「なぜ緊急事態措置は想定以上となったのか:数理モデル分析の影響について」

(関係する過去記事)
「なぜ緊急事態措置は想定以上となったのか:数理モデル分析の影響について」

「なぜ緊急事態措置は想定以上となったのか:補遺(2024年4月27日)」

 拙稿「なぜ緊急事態措置は想定以上となったのか:補遺(2024年4月13日)」を更新した「なぜ緊急事態措置は想定以上となったのか:補遺(2024年4月27日)」を公開しました。
 本体「なぜ緊急事態措置は想定以上となったのか:数理モデル分析の影響について」で感染症数理モデルの計算結果を示したグラフと感染症専門家の発言を照合していたのですが、緊急事態宣言発出に近い時期の発言がグラフから離れすぎていて、あまり重きを置けませんでした。2020年4月9日の西浦教授の発言が新たに追加されたことで、この時期の発言をより詳細に検討することが可能になりました。以下の表がその一覧ですが、多くの発言はグラフに基づいて理解することができます(そうなるのが当たり前ですが)。しかし、そもそもグラフが誤っている(新規感染者と感染者を取り違えている)ので、グラフに基づく説明というのは、この場合は誤っています。
 今回の補遺で浮かび上がったのは、接触7割削減に関して、「感染日」(モデルで感染が生じる日付)と「報告日」(遅れてデータが確認できる日付)の差が、8割削減と6.5割削減の場合よりも大きいことです。この差がどのようにして生じたのかが不明であり、誤っているか否かまでは判断しませんが、不審な点となります。この7割削減の帰結は、感染症専門家が接触8割削減を推奨する際の重要な根拠です。

接触削減の代替案の説明


(参考文献)
岩本康志(2023a)「『接触8割削減』の科学的根拠」

岩本康志(2023b)「『接触8割削減』の科学的根拠の再現」
https://iwmtyss.com/Docs/2023/2023cj307.pdf

岩本康志(2024a)「なぜ緊急事態措置は想定以上となったのか:数理モデル分析の影響について」

岩本康志(2024b)「なぜ緊急事態措置は想定以上となったのか:補遺(2024年4月13日)」

岩本康志(2024c)「なぜ緊急事態措置は想定以上となったのか:補遺(2024年4月27日)」

(関係する過去記事)
「接触8割削減」の代替案の説明

「なぜ緊急事態措置は想定以上となったのか:数理モデル分析の影響について」

「なぜ緊急事態措置は想定以上となったのか:補遺(2024年4月13日)」

「政府対策本部の設置と廃止(続):事例研究 新型コロナウイルス感染症」

 拙稿「政府対策本部の設置と廃止(続):事例研究 新型コロナウイルス感染症」を公開しました。COVID-19の事例研究の教材として作成したもので、「政府対策本部の設置と廃止:事例研究 新型コロナウイルス感染症」以降の動向を取り上げています。COVID-19が新型インフルエンザ等対策特別措置法の適用を外れる過程を考察していますが、実際の議論と平行して書いていたブログ記事「第6波後半の致死率(そして馬はいつまでも幸せに暮らしました)」、「第7波のデータが公表されない問題点」、「特措法を適用する根拠を失った新型コロナウイルス感染症」の内容を取り入れた上で、新たな論点を加えています。
 事例研究シリーズはこちらで解説していますが、読者に考えてもらうために、特定の結論に誘導することはできる限り避けるようにして、筆者の意見を出すことは控えています。COVID-19対策には正解のない局面も多々あり、事実認識と価値観の違いによる意見の相違はあってしかるべきです。しかし、今回の題材である特措法の適用については、法令に拠らず私権制限をするという考えが見られますが、このような価値観は認めないという立場をとっています。このことから、感染症専門家から出された意見への評価は厳しくなっているかもしれません。

(参考文献)
岩本康志(2022)「政府対策本部の設置と廃止:事例研究 新型コロナウイルス感染症」

岩本康志(2024)「政府対策本部の設置と廃止(続):事例研究 新型コロナウイルス感染症」

(関係する過去記事)
新型コロナウイルス感染症対策本部の廃止

新型コロナウイルス感染症対策本部はいつ廃止できるのか

第6波後半の致死率(そして馬はいつまでも幸せに暮らしました)

第7波のデータが公表されない問題点

特措法を適用する根拠を失った新型コロナウイルス感染症

「事例研究 新型コロナウイルス感染症」シリーズ

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