『国民経済計算』2006年度確報での社会保障基金の財政収支が不思議な動きをしている。フロー編・付表6では,財政収支の計数が,所得支出勘定・資本調達勘定から導かれる純貸出/純借入(項目26)と『資金循環統計』から推計される資金過不足(項目28)の2つ現れる。2006年度の計数は,項目26が-3819億円,項目28が-23兆310億円と,22.6兆円もの差異がある。
貯蓄-投資=金融資産の増加-金融負債の増加
の関係から,両者は概念的に同じものである。2つの推計方法での推計誤差が違うことで計数の差異が生じるが,これほど大きくなるのは尋常ではない。
少なくともどちらかの手法に巨大な推計誤差があることになる。現在のところ,原因がわからず調査中。
私は,財政健全化の指標にはできるだけ国民経済計算を用いるのがよいと考えている。予算・決算からの指標は政府の一部分しかカバーできず,例えば一般会計に目標を課すと特別会計につけを回して一般会計だけきれいにする,特別会計を含めた目標にすると独立行政法人等につけ付回しをするなど,尻抜けになってしまうおそれがある(拙稿『隠れ借金』(https://iwmtyss.com/Docs/1999/KakureShakkin.html )を参照)。それを防ぐには,国民経済計算を利用して,一般政府全体に網をかけるのがよい。このときの指標が大きな誤差を含むと,この目論見もうまく働かない。このため,こうした誤差には敏感になってしまうのである。
貯蓄-投資=金融資産の増加-金融負債の増加
の関係から,両者は概念的に同じものである。2つの推計方法での推計誤差が違うことで計数の差異が生じるが,これほど大きくなるのは尋常ではない。
少なくともどちらかの手法に巨大な推計誤差があることになる。現在のところ,原因がわからず調査中。
私は,財政健全化の指標にはできるだけ国民経済計算を用いるのがよいと考えている。予算・決算からの指標は政府の一部分しかカバーできず,例えば一般会計に目標を課すと特別会計につけを回して一般会計だけきれいにする,特別会計を含めた目標にすると独立行政法人等につけ付回しをするなど,尻抜けになってしまうおそれがある(拙稿『隠れ借金』(https://iwmtyss.com/Docs/1999/KakureShakkin.html )を参照)。それを防ぐには,国民経済計算を利用して,一般政府全体に網をかけるのがよい。このときの指標が大きな誤差を含むと,この目論見もうまく働かない。このため,こうした誤差には敏感になってしまうのである。